筋ジストロフィー
筋ジストロフィー
筋ジストロフィーは、筋力低下を起す一連の遺伝性筋疾患で、その重症度はさまざまです。筋ジストロフィーはいくつかの型がありますが、最も頻度が高いのはデュシェンヌ型筋ジストロフィーとベッカー型筋ジストロフィーです。ほとんどが男児にのみ発症します。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは出生した男児の3300人に1人、ベッカー型筋ジストロフィーは1万8000人に1人の割合で発症します。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを起す遺伝子欠損は、ベッカー型筋ジストロフィーを起す欠損とは異なりますが、どちらも同じ遺伝子に起こります。いずれもX染色体の劣性遺伝です。つまり、女性は欠損遺伝子を持っていても本人は発病しません。なぜなら、女性の染色体はXX型でもう一本のX染色体にある正常な遺伝子が欠損を補ってしまうからです。しかし男性の染色体はXY型でX染色体が1本しかないので、そこに異常があれば発症します。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの男児は、筋肉の細胞の構造を維持するための重要なタンパク質であるジストロフィンと呼ばれる物質が体内にほとんどありません。ベッカー型ジストロフィーの男児では、ジストロフィンは作られますが、その構造が変性するため、本来の機能を発揮できないため症状があわられると言うわけです。
≪検査診断≫
男児の筋力低下が進行しているようなら、医師は筋ジストロフィーを疑います。筋細胞からクレアチンキナーゼという酵素が血液中に漏れ出してくるので、血液中のクレアチンキナーゼ濃度が著しい高値を示します。ただし、血液中クレアチンキナーゼ値は、他の筋肉の病気でも高値を示すことがあるため、この濃度が高いからといって、すぐに筋ジストロフィーであるとは言い切れません。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、血液検査でタンパク質のジストロフィンを作る遺伝子の欠損または異常が見つかったり、筋生検で筋肉中のジストロフィンが極端に少ないことから診断がつきます。顕微鏡検査では、筋肉の壊死組織や異常に大きな筋繊維が認められます。
筋ジストロフィーの最終段階では、脂肪やその他の組織が、死んだ筋肉組織に置き換わったりします。
同様にベッカー型筋ジストロフィーでは、血液検査でタンパク質のジストロフィンを作る遺伝子の異常が検出され筋生検ではジストロフィンが少なくなっていますが、デュシェンヌ型ほどではありません。
診断を確定する他の検査としては、筋電図検査と神経伝導試験などが行われます。
家族にデュシェンヌ型筋ジストロフィーまたはベッカー型筋ジストロフィーのいずれかを発症した人がいれば、自分たちの子供に筋ジストロフィを発症するリスクについて遺伝カウンセラーに相談するほうがいいでしょう。この病気の家族歴がある家系では、胎児に出生前検査をしてその子が病気に侵されているかどうかを調べることも可能です。