アディポサイトカイン
脂肪組織は単なるエネルギーの貯蔵器ではなく、さまざまな生理活性物質を分泌する臓器で、この脂肪組織由来の生理活性物質を総称してアディポサイトカインといいます。この内臓脂肪が増加することにより産生されるさまざまな物質が増加・減少することにより健康障害を起こします。それらの物質はどのようなものがあり、どのように作用するかいくつか紹介します。
- アディポネクチン
- 内臓脂肪が蓄積すると血中濃度が減少します。アディポネクチンは血管壁に働き、動脈硬化を抑制する働きをしていますので、減少すると動脈硬化を進展させることになります。この減少がメタボリックシンドローム発症のキーと考えられています。
- レプチン
- レプチンは脂肪蓄積とともに脂肪組織より分泌され、視床下部中枢に作用し、食欲の抑制、交感神経の刺激によるエネルギー消費増加作用を介して体重を減少させる方向に働きます。肥満状態が続くとレプチンの血中濃度が上昇し高値を示すことが多い。健常者では過食時には脂肪細胞から分泌されるこの物質により、視床下部の肥満中枢が刺激されて食欲を抑制する方向に働くが、肥満者ではこのネガティブフィードバックが働かず、摂食の抑制が起こらず余分な脂肪が蓄積されると考えられる。つまり、肥満者の場合は常に血中濃度が高い状態であるので、この物質の作用不全が起こっていると考えられます。
- ビスファチン
- 皮下脂肪に比べて内臓脂肪に豊富で、内臓脂肪蓄積とともに血中濃度が上昇し血糖を低下させます。
- PAI-1(プラスミノーゲン活性化酵素インヒビター)
- 皮下脂肪とは相関はなく、内臓脂肪面積と正の相関を示し、蓄積された脂肪から直接分泌されます。PAI-1が増加すると線溶活性を低下させ、血栓が形成されやすくなり血栓性疾患を引き起こします。
- TNF-α(腫瘍壊死因子―α)
- 蓄積した脂肪組織より分泌されたTNF-αが筋肉、脂肪組織、肝臓での糖利用亢進を抑制し、インスリンの受容体に作用し、インスリン作用を減弱させることによりインスリン抵抗性となります。
- アンジテオンシノーゲン
- 血管が収縮することにより血圧が上昇します。
- レジスチン
- 肥満脂肪組織からか分泌され、肝臓に作用し糖新生を亢進させ糖代謝を悪化させるといわれています。