胃がん
胃がん
【胃と胃がんの特徴】
胃は胃袋といわれるように食べ物を一次貯蔵する袋ですが、食べ物が消化されやすいようにどろどろにするミキサーの役割も持っています。胃壁は消化管のどの部位よりも厚く、食べ物の貯蔵に伴って伸び、約1リットルほどの容量があります。
胃液には塩酸と消化酵素のペプシンが含まれています。塩酸は外部から侵入した細菌類を殺菌する作用があり、消化酵素のペプシンによってたんぱく質が分解されてドロドロになり、適量ずつ徐々に十二指腸に押し出されていきます。
胃は生命維持に必須の臓器ではありません。手術で胃を全摘すると1回の食事量は減りますが、食事回数を増やすことで必要量をとることができます。
肺がんにトップを譲るまで胃がんは日本で臓器別がんの死亡率でトップでした。死亡率が低下したのは早期胃がんの診断と治療が進歩した結果であり、現在も患者数は横ばい状態であり、胃がんそのものが減ったわけではありません。現在、がんの死亡率では男性の場合は肺がんに次いで2位ですが、女性の場合は依然として1位です。なお、胃がんは日本人に多く、欧米人に少ないという特徴があります。
【胃がんの検査】
①バリウム検査と内視鏡検査
通常早期の胃がんは無症状です。しかしまれに、みぞおちのあたりの痛みや、胃部不快感、出血(吐血・下血)などで見つかる場合もあります。
胃がんの検査で最もポピュラーなのがバリウムを飲んで行う胃透視(レントゲン)検査で、胃の粘膜に異常がないか、胃の形に異常がないかをみます。
胃がんの診断に最も有効なのは内視鏡検査です。胃の中を直接観察する内視鏡検査は、微小ながんも発見できます。疑わしい場合は胃の組織の一部を採取し、顕微鏡検査でがん細胞がないかを調べます。
②超音波内視鏡検査
がんの壁深達度が、粘膜層(粘膜内および粘膜下層)にとどまっていて、筋層に達していない段階を早期がんといいます。胃の筋層にまで及んでいる場合には、すでに周囲のリンパ節への転移が生じている可能性が高くなります。この壁深達度を調べるにはこの超音波内視鏡検査が役立ちます。先端に超音波装置が付いた内視鏡を用いて、表面から見えない胃壁内への広がりを調べます。
病巣が粘膜内に留まっている場合には、開腹手術をする代わりに内視鏡で切除できることがあります。
早期発見の難しいスキルスがん
胃がんには、早期発見の難しい特殊なタイプがあります。それはスキルス胃がんと呼ばれるもので、若い女性に多く、胃全体の表面下に進行していくため、内視鏡とバリウム検査では初期の段階で見つけにくいという特徴があります。それゆえ、発見されたときには、すでにがん細胞が外壁を貫いて腹膜に転移しており、がん性腹膜炎になっていることもあります。
スキルス胃がんで摘出された胃を調べると、がんが胃壁全体に浸潤して、繊維が多く硬くなってまるで、古くなったゴムボールのように表現されることもあります。
【症状と経過】
早期がんでは、自覚症状がほとんどないため多くの場合は集団検診や、人間ドックで発見されます。進行がんになると、胃の痛みや胃の膨満感、食欲不振、体重減少、むかつき、胸焼け、貧血などの症状が見られるようになります。病巣から出血し、タール便(出血した赤血球が胃酸のために酸化されて、便がタール状の黒い便のようになる)がみられるようになります。
【関連する検査】
- 胃X線検査
- 胃内視鏡検査
- 胃組織検査(がん組織の有無を調べる検査)
- ペプシノーゲンⅠ/Ⅱ比
- 腫瘍マーカー(CEAほか)